昨日2019年6月16日、テレビ朝日系「関ジャム完全燃SHOW」では「梅雨時に聴きたい!雨ソング ベスト10」と題して、調べてみたら実は深かった数々の雨の名曲をプロのミュージシャンが解説しました。
20~50代の男女100名に好きな雨の歌をアンケートをとって「雨ソング BEST10」を決定。
この番組では、様々なジャンルの楽曲をランキング形式で紹介し、ランクインした曲のテクニックやカラクリなどをプロの音楽家が解説する企画が時々放送されますが、普段、何気なく聴いている曲に隠されたカラクリなどをわかりやすく解説してくれて、いつも目からウロコです。
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梅雨時に聴きたい!雨ソング ベスト10
雨ソングを解説するスタジオのゲストは3人
・zoppさん(作詞家)
→代表作:修二と彰「青春アミーゴ/山下智久「抱いてセニョリータ」など
・保本真吾さん(サウンドプロデューサー)
→代表作:ゆず「雨のち晴レルヤ」/SEKAI NO OWARI「RPG」など
・多保孝一さん(作曲家・音楽プロデューサー)
→Superflyギタリストとしてデビュー。現在は三浦大知・大原櫻子などを担当。
アンケートで決定された雨ソングベスト10を解説しました。
(※記事中のランキング・コメント等の文章は、「関ジャム完全燃SHOW」2019年6月16日放送分より引用・要約などさせていただいております。)
20~50代 男女100名が選ぶ 雨ソングBEST10(10位~4位)
☆40・50代の支持多数!青春時代を思い出す名曲
→10位:「雨あがりの夜空に」('80)/RCサクセション
(作詞・作曲:忌野清志郎 仲井戸麗市)
・女性を自動車に例えたとも思える歌詞が話題に。
【保本真吾コメント】
歪んだギターの音色と、清志郎さんのアクセントの強い歌い方が雨を連想させるので、歌詞を見ながら聴くと、より世界観に没頭できる。
ロックンロールと雨というテーマは何気にとても組み合わせが良いと思います。
☆女性に支持多数!別れを歌った 80年代アイドルの失恋ソング
→9位:「優しい雨」('93)/小泉今日子
(作詞:小泉今日子 作曲:鈴木祥子)
・小泉も出演のドラマ「愛するということ」主題歌。
・「あなたに会えてよかった」('91)に次ぐヒット作。
【多保孝一コメント】
Bメロから「コンコン」とクラベスという打楽器の高い音が入ってきて 雨粒が落ちるという音を連想させる仕掛けになっています。
☆数々のアーティストがカバー 雨ソングなのに力強いナンバー
→8位:「みずいろの雨」('78)/八神純子
(作詞:三浦徳子 作曲:八神純子)
・石井竜也・松浦亜弥などがカバー。
☆身近な世界観に共感者多数!しっとりと響く失恋ソング
→7位:「雨」('90)/森高千里
(作詞:森高千里 作曲:松浦誠二)
・雨に打たれる中、恋に別れを告げる歌。カラオケでも根強い人気を誇る。
【保本真吾コメント】
全体的にゆったりとした8ビートで、伴奏の1拍目にアクセントがつけられている。
これが雨感を表現しているし、特に日本人にマッチするノリなんだと思います。
☆雨の憂鬱を吹き飛ばす 軽快なミュージカルソング
→6位:「雨に唄えば(SINGIN' IN THE RAIN)」('52)/ジーン・ケリー
・ハリウッドを代表するミュージカル映画の主題歌。
・ジーン・ケリーが歌いながら踊る場面は映画史に残る名シーン。
【保本真吾コメント】
跳ねる感じのビートで雨の憂鬱なイメージを感じさせないウキウキ感を演出。
雨をテーマにした明るい音楽を作ろうとするなら、必ず話題にあがる教科書的存在。
☆売上約300万枚の大ヒット!国民的バンドの切ない名曲
→5位:「TSUNAMI」('00)/サザンオールスターズ
(作詞・作曲:桑田佳祐)
・売上役300万枚 サザン最大のヒット曲。
・第42回日本レコード大賞を受賞。
・失恋しても思いを寄せる切なさを歌った曲。
【zoppコメント】
実はタイトルにも歌詞全体にも「雨」は出てこないし降ってもいない。
サビの最後の「思い出はいつの日も雨」。悲しいことを代弁しているこの一言だけで楽曲のイメージを完遂させている、まさに「裏雨ソング」
☆コレを聴けば心も晴れる ハモりが人気の2人組の名曲
→4位:「雨のち晴レルヤ」('13)/ゆず
(作詞:北川悠仁 作曲:北川悠仁・佐藤和哉)
・NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」主題歌。
・スタジオゲストの保本真吾さんが編曲。
・第56回日本レコード大賞 優秀作品賞。
意外と深かった!雨ソングのヒミツ
スタジオゲストが、雨ソングのカラクリを解説しました。
●「雨+〇〇」の法則(zoppさんが解説)
雨(ネガティブ)+〇〇(何かの要素)→伝えたいことを代弁
・「雨」+「夜」→別れ・悲しさ
例:「優しい雨」(小泉今日子)など
・「雨」+「雨上がり・虹」→ポジティブ
例:「雨のち晴レルヤ」(ゆず)など
・「雨」+「傘」→出会い ポジティブなイメージ
例:「雨やどり」(さだまさし '77発表)/「アイアイア傘」(テゴマス '08発表) など
●テンポ(保本真吾さんがが解説)
テンポで雨が降る強さの表現。
・ゆったりした8ビート→「シトシト雨」を表現
例:「雨」(森高千里)/「TSUNAMI」(サザンオールスターズ)など
※「頭ノリ」で、拍のアタマにアクセントをつける
→ゆったりした8ビートが強調→よりシトシト雨を表現。
・テンポが早い16ビート→「どしゃぶり雨」を表現
例:「みずいろの雨」(八神純子)など
・叩きつけるようなギター→「打ちつける激しい雨」を表現
例:「雨あがりの夜空に」(RCサクセション)など
●プラック音(多保孝一さんが解説)
弾けるような音をプラック音というとのこと。(2年くらい前まで世界的に流行)
雨粒が落ちる音を表現している。雨粒が落ちる音を連想させる隠し味。
例:「ピチカート」というバイオリンを弦を指で弾く奏法
→「Shape Of You」(エド・シーラン '17発表)/「雨のち晴レルヤ」(ゆず)/「雨に唄えば(SINGIN' IN THE RAIN)」(ジーン・ケリー)など
BEST10以外の上位ランクインの名曲
ベスト3をみる前に、ベスト10には入らなかったけれど、アンケート上位にランクインした雨の名曲が紹介されました。
・「LOVE RAIN~恋の雨~」('10)久保田利伸
(作詞・作曲:Toshinobu Kubota)
・「雨の御堂筋」('71)欧陽韮韮
(作詞:林春生 作曲:Ventures)
・「RAIN」('17) SEKAI NO OWARI
(作詞:Fukase & Saori 作曲:Nakajin,Fukase & Saori)
・「真夏の通り雨」('16)宇多田ヒカル
(作詞・作曲:Utada Hikaru)
・「雨にキッスの花束を」('90)今井美樹
(作詞:岩里祐穂 作曲:KAN)
・「RAIN」('13)秦基博
(作詞・作曲:大江千里)
・「群青日和」('04)東京事変
(作詞:椎名林檎 作曲:H是都M)
・「雨やどり」('77)さだまさし
(作詞・作曲:さだまさし)
・「雨のち晴れ」('94)Mr.Children
(作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿・小林武史)
・「雨の慕情」('80)八代亜紀
(作詞:阿久悠 作曲:浜圭介)
・「にじいろ」('14)絢香
(作詞・作曲:絢香)
・「サボテン」('00)ポルノグラフィティ
(作詞:ハルイチ 作曲:シラタマ)
・「ENDRESS RAIN」('89) X JAPAN
(作詞・作曲:YOSHIKI)
・「駅」('87)竹内まりや
(作詞・作曲:竹内まりや)
・「虹」('08)Aquq Times
(作詞・作曲:太志)
・「雨のMelody」('99)Kinki Kids
(作詞:康珍化 作曲:武藤敏文・坂井秀陽)
・「最後の雨」('92)中西保志
(作詞:夏目純 作曲:都志見隆)
・「瞬き」('17)back number
(作詞・作曲:清水衣与吏)
・「Squall」('99)福山雅治
(作詞・作曲:福山雅治)
20~50代 男女100名が選ぶ 雨ソングBEST3
☆CMソングで話題に!ソロで歌う雨の日のラブソング
→3位:「はじまりはいつも雨」('91)/ASKA
(作詞・作曲:飛鳥涼)
・ASKAソロとして3枚目のシングル。
・大ヒット曲「SAY YES」と同じ年のリリース。
・CMソングとして作ったが、反響が多くシングル曲に。
・第33回日本レコード大賞 最優秀ボーカル賞などを受賞。
☆朝ドラ主題歌としても話題に!思わず口ずさむ明るい名曲
→2位:「晴れたらいいね」('92)/DREAMS COME TRUE
(作詞・作曲:吉田美和)
・雨の憂鬱を思わせない歌詞に多くの支持。
・NHK連続テレビ小説「ひらり」主題歌。
【zoppコメント】
曲中に雨は降っておらず 晴れも雨もあくまで仮定の話に留められている。
雨ソングは晴れか雨か明確にされる事が多いが、それを明確にしていない歌詞は、とても個性的。
両親に向けたメッセージと言われていて、「どんな天気なんだろうと出かけよう」 そんな平和でポジティブな歌詞に癒しを感じられる。
☆海外アーティストにもカバーされる 雨ソングの日本代表!
→1位:「レイニーブルー」('86)/徳永英明
(作詞:大木誠 作曲:徳永英明)
・徳永英明(当時24歳)のデビューシングル。
・徳永が作曲・大木とデビュー前に制作。
・別れた相手を思う切ない歌詞が人気。EXILE ATHUSHI、島谷ひとみ、海外アーティストなどもカバー。
翌日のiTunesソングランキング
この番組で、音楽プロデューサーなどが楽曲を紹介し解説をすると、紹介された曲の放送後の音楽配信ランキングが急上昇したり、YouTubeの再生回数が大幅に上昇したり、いわゆる「バズる」現象が起きることがよくありました。
今回も紹介された楽曲の中で、ランキングなどが上昇したものがあるかどうか、放送翌日午前のiTunesソングランキングを確認しました。
今回は、特に目立って急上昇した曲はなかったようです。
比較的、年代の古い曲が多かったことや、そもそも大ヒットした名曲ばかりだったので、皆が知っている曲が多かったからかもしれません。
過去にランキングなどが急上昇したパターンは、界隈では売れているけど「知る人ぞ知る」ような曲を音楽プロデューサー(特に蔦谷好位置さん)が解説したり絶賛したしたりすると、視聴者からの楽曲へのネットでのアクセスが上昇するようです。
個人的には、今までそれほど雨ソングにこだわって聴いていませんでしたが、こうして紹介されると雨ソングに名曲・ヒット曲が多いことに驚かされました。
また、番組の中でもゲストの方がふれていましたが、これほど雨の曲に思い入れがあってヒット曲が多いのは日本独特の現象ではないか、とのことでした。
日本には梅雨があったり、雨が降るとどちらかというと憂鬱なイメージという共通認識がありますが、雨がほとんど降らないアメリカ・ロサンゼルスや、逆に雨の多いイギリス・ロンドンなどでは、それほど「雨」に思い入れがない、または別のイメージがあるので、雨そのものをテーマにした名曲が生まれにくい地域性がありそうです。
地域性を考えながら、洋楽の歌詞をみてみるのも面白そうです。